エピローグ

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エピローグ

あれから約二年、僕はもう少しでこの学校を卒業する。クラスのほとんどが進学だったが、僕は隣町の企業で働くことにした。もちろん彼らは同じ都会の大学にいくようで、たまに廊下ですれ違う時は同じ人間だと思えなかった。 あの日、南美桜を振った一時間後、青山から呼び出された。メールには多分これが最後だから来てほしいと書いてあった。 指定されたカフェに行くと、彼は既に席にいた。 「呼び出して悪いな。何か飲むか?」 「じゃあアイスコーヒーで。」 コーヒーが来るまでの間、お互いに一言も話さなかった。 僕が一口コーヒーを啜ったタイミングで彼は話し始めた。 「先に言っておきたい。今までお前を虐めてしまってすまなかった。そして、僕達の関係を保つよう後押ししてくれてありがとう。」 「南さんにも言ったけど、暴力を振るわれたことに対して何とも思ってないんだ。」 「僕を恨んでもいいだ。ここで殴られても、帰られても僕には腹を立てる権利はない。」 「それはもういいって。話はそれだけか?それなら僕は帰るよ。」 僕が席を立った瞬間、彼は僕の手をとった。 「本当にすまないと思ってるんだ。だから君にはもう関わらないようにするよ。」 そう言って手を離してしまったので、僕はそのまま帰ることにした。 僕の高校生活はこうして終わることになる。一年生の半年間はいじめられ、その後は誰とも仲良くなることはなく終わってしまう。 仕方ないさと心の中で笑う。僕などでは南美桜の評判を下げてしまう。だからその代わりで彼に彼女を託しのだ。 今度は声に出して笑ってみる。いつのまにか頰に涙が伝っていた。
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