3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
エピローグ
あれから約二年、僕はもう少しでこの学校を卒業する。クラスのほとんどが進学だったが、僕は隣町の企業で働くことにした。もちろん彼らは同じ都会の大学にいくようで、たまに廊下ですれ違う時は同じ人間だと思えなかった。
あの日、南美桜を振った一時間後、青山から呼び出された。メールには多分これが最後だから来てほしいと書いてあった。
指定されたカフェに行くと、彼は既に席にいた。
「呼び出して悪いな。何か飲むか?」
「じゃあアイスコーヒーで。」
コーヒーが来るまでの間、お互いに一言も話さなかった。
僕が一口コーヒーを啜ったタイミングで彼は話し始めた。
「先に言っておきたい。今までお前を虐めてしまってすまなかった。そして、僕達の関係を保つよう後押ししてくれてありがとう。」
「南さんにも言ったけど、暴力を振るわれたことに対して何とも思ってないんだ。」
「僕を恨んでもいいだ。ここで殴られても、帰られても僕には腹を立てる権利はない。」
「それはもういいって。話はそれだけか?それなら僕は帰るよ。」
僕が席を立った瞬間、彼は僕の手をとった。
「本当にすまないと思ってるんだ。だから君にはもう関わらないようにするよ。」
そう言って手を離してしまったので、僕はそのまま帰ることにした。
僕の高校生活はこうして終わることになる。一年生の半年間はいじめられ、その後は誰とも仲良くなることはなく終わってしまう。
仕方ないさと心の中で笑う。僕などでは南美桜の評判を下げてしまう。だからその代わりで彼に彼女を託しのだ。
今度は声に出して笑ってみる。いつのまにか頰に涙が伝っていた。
最初のコメントを投稿しよう!