出会いから終わりまで

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僕は驚きが顔に出ないように冷静に返した。 「僕は特になんとも思ってないから。そんなことで泣かないで。」 「そんなことではないでしょ?私はあなたのことがずっと気になってた。いや、ずっと片思いをしてた。だから…。」 僕は彼女の顔を凝視してしまった。彼女は僕のことを考えて泣いてくれていた。 「僕は南さんからそう言われるのは今まで生きてきた中で一番嬉しい言葉だよ。…だけど、僕は南さんと付き合うことはできない。」 彼女はどうして、と今にも消えそうな声で繰り返し尋ねた。 僕は彼女を見てにこりと笑う。 「僕には失うものはないけど、南さんには失うものはたくさんある。青山はもちろん、クラスの皆からはあまりいい目では見られないだろうし、そこまでされても僕は嬉しくない。」 彼女は僕からの拒絶の言葉を受け、先程より大きな声で泣いていた。僕はそれに負けないよう言ってみる。これは僕のけじめのようなものだ。 「僕から一つお願いがあるんだ。」 「…何?」 「僕をいじめていたという事実を忘れたことにして、今まで通りに過ごしてほしいんだ。」 「そんなことできないよ…。」 「南さんならできるよ。」 そんなやり取りを5回ほど繰り返したところで彼女は泣き止んでいた。 「…わかった。やってみるよ。」 「そうしてくれると助かるよ。」 お互いに顔を見合わせて吹き出してしまった。 多分これが最後の会話になるのに、思い残すことがないことに気付いて、僕と彼女が考えてることが一緒だと分かって、吹き出してしまったのだろう。
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