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「ねえみつやさん、もう行こうよぉ…」
みつやのSubが、更にむくれてみつやの腕にすがりつき、彼の身体をゆさゆさと揺すった。
「或斗、少し黙っとって。」
「… 」
あると、と呼ばれる彼は、みつやの強い口調で、しゅんとしながらも口を塞いだ。
「10年…いや、それより前になるか。一葉にダイナミクスんコントロールば教えたんが俺ばい。」
10年以上前…?ダイナミクスのコントロール…?
そこまで聞いて、わずかに一葉の脳裏にその記憶が呼び起こされた。
‘くくっ、こりゃあ、おもしろかね。調教のしがいがあるばい。’
確か、2番目の主人に買い取られた直後のことだ。ダイナミクスのコントロールが上手くいかず、調教師に預けられていた期間があった。
よく見れば、彼の面持ちも、見たことがあるような気がしてきて。
「本当か、一葉?」
「…おそらく。あまりいい思い出ではないので、忘れていましたが。」
くつくつと、みつやが面白そうに笑う。何か悪い予感がした。
「…やけん、あんたが相応しか男かくらいは、見極めてやらなね。」
そう言いながら、みつやの目から、容赦ないglareが放たれて…
「見極めるだと?何様のつもりだ。」
紅司も負けじと睨み返したのが、一葉には気配で感じ取れた。
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