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「なんや、悔しかばってん、ばりよか男ばい。これなら俺もなにもいわれん。お幸せに。」
みつやは少し面白くなさそうにそう言うと、横にいる或斗に目を向ける。彼も紅司のglareにあてられたわけで、まったくノーダメージとはいかないだろう。
「…ん?或斗、なに顔ば赤くしとーと!?」
しかし或斗は顔を赤らめてぼうっとしている。
みつやは一瞬それを紅司に惚れたのだと誤解したようだが、或斗の視線はしっかりとみつやの方を向いていた。
「…ちゅーしてもらえて、いいな…。」
みつやはそれを聞いて驚いたような表情を浮かべて。
「…仕方なかね。静かにできたご褒美ばい。」
ちゅ、と或斗の唇に軽いキスを落としたのだった。途端、或斗の白い頬がさくらんぼのように真っ赤に色づく。
「なんかよくわかんないけど、お幸せに!!
…戻りましょう、紅司様。」
これ以上他人のいちゃいちゃなど見ていられないと、一葉はためらいがちに紅司の手をとり、駐車場の方へと軽く引っぱった。
「ああ、そうだな。」
紅司は爽やかに微笑み、一葉の引く方へ足を向ける。
しかし間も無くやや強い力で一葉の腕を引き、身体を引き寄せて。
「…さっきのことについての話は、あとでたっぷり聞かせてほしい。」
と、耳元で艶っぽく、わずかに怒りを帯びた口調で呟いたのだった。
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