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「バカなの?その程度のglare通用しない。」 ため息をついて一葉は3人の男に対しglareを放ち返した。殺気立っていた彼らはすぐにピタリと動けなくなり、わずかに肩を震わせ始めて。 「このくらいで動けなくなるようじゃ俺を調教するなんて無理だよ。じゃあね。」 今度こそ、一葉はその場を颯爽と立ち去る。男たちが追いかけてくることはなかった。 一葉が信用できるのは、自分に心を預けた調教中のSubだけだ。 だから自分は誰にも本当に心を許すことはないし、SwitchだからといってSubとして誰かに心を預けることなどしない。 そもそも一葉のDom性は相当強い。 Dom性にはレベルがあり、そのレベルで階級のようなものが決まる。glareで睨み合いになればDom性の強いものが勝つ、というのも常識だ。 だから今回のようなことはよくあるが、一葉が誰かに屈したことはない。 「てか執事はぺこぺこ頭を下げる仕事じゃないし!」 帰り道は人気が少ない。先はどの出来事で苛立った一葉は、足元の石ころを思いっきり蹴り飛ばした。 カン、とアスファルトに石が打ち付けられる音がすると思ったのだが、数秒待っても期待通りの音は一向に耳に入らない。 代わりに向こう側でぱしっと乾いた音がした。 音の方を見れば、スーツを見にまとった美しい男のシルエットがあって… 「こんなところでサッカーの練習か?」 低い声とともに、暗がりでもわかる端正な顔立ちの男が微笑を浮かべていた。
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