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一方その頃。
目が合うなり逃げ出した失礼極まりない一葉の背中を、1人の男が微笑ましげに見つめていた。
「紅司様、彼を連れ戻して参りましょうか?」
後ろで影を潜めていた部下が、ぬっと出てきて紅司に問う。
しかし紅司は静かに首を横に振った。
「いや、いい。どうせすぐ会うことになる。それに… 」
なんでしょうかと紅司の顔を覗き込んだ部下は、ひっ、と声を漏らし、怯えきった。
「彼に触れていいのは、俺だけだ。」
部下の反応を見た紅司は、自分が無意識にglareを放っていたことに気づく。
やはりだめだ。彼のことを考えるとやはり、第2性が暴走してしまう。
…彼を守りたい。彼からの信頼が欲しい。
その一心で紅司は、血反吐を吐くような努力とともに、やっと一歩を踏み出したのだから。
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