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「明日から一葉には、離れで仕事をしてもらう。他3人は一葉の抜けた穴をしっかりと埋められるように。」
「「「かしこまりました」」」
執事全員が集められた室内で、当主の言い放った一言に一葉の頭は真っ白になった。なんで俺だけが…?
一葉の毎日は、それなりに忙しい。
メイドが本家の人々を起こす1時間半前(大抵は6時)に起床し、身なりを整え着替えた後、他の使用人を起こしてから自らの朝食をとる。
そこから朝食の給仕を行い、その後も酒類、食器の管理をしたり、使用人の仕事振りを見回って確認したり、来客の出迎えをしたりと、 夕食が終わるまでの間はやることが尽きない。
もちろん家の人に呼ばれればいつでも駆けつけるし、彼らや来客と話を合わせられるように、夕食後もニュースや流行のチェックも行なっていて。
簡単な資料の作成や、主人に求められた資料の提供だって、勉強してできるようになった。
15で見習いとして引き取られた時から、一葉の勤務態度は他に引けを取らないくらいに良好であったように思う。
愛染の家に仕える執事は計4人。その中で一葉だけが離れに飛ばされる、だなんて…
しかも明日から。一言の相談もなく、いきなり。
愛染家の離れは広く、掃除こそされているものの誰か住んでいるわけではない。離れの管理は執事の仕事の域ではないのだ。
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