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「あーあ、罪な子ねぇもう。一葉ちゃん、そろそろ遅いし帰ったら?」 とんとん、と一葉の肩を叩きながらため息をついたのは店のママである。 「俺はまだイケますけどー?」 一葉がにやりと振り返ると、肩までの金髪がさらりと揺れた。ハーフ特有の美しく中性的な顔立ちに、SubだけでなくDomも、周り全員が釘付けになる。 「だめだめ一葉ちゃんがいるとSubのお客様みーんな一葉ちゃんに持ってかれちゃうんだから。」 ママが心底呆れたようにため息をついたところで、一葉はやれやれと立ち上がった。名残惜しそうに先ほど調教を施した青年がじっと一葉を覗く。 「楽しかったよ、またね。」 彼に別れを告げると、一葉はハンガーにかかったコートを羽織った。次は僕ね、と駆け寄ってくるかわいいSubたちにはウインクを。 速やかに会計を済ませ、爽やかに立ち去った。
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