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夕茜/ゆうあかね
「うおぉぉー、いいねえ!」
そんな、叫ぶ程でもないだろう。
修は何度も何度も、デジカメに夕焼けを収める。
見事な夕焼けなのは私も認める。
けど、こんなのいつだって見れるだろう。
現にこうやってこいつが夕焼けを撮るところに、何度立ち合ったか知れない。
撮れる写真は大体似たようなものなのに。
単なる太陽と雲と空なのだから。
「オマエこれ、この間も撮っただろ」
「いーだろ。撮らないの勿体ねーんだよ」
高台の公園。
いい加減寒いし、今日は早く切り上げてもらいたかった。
渡す物があるのだ。
プレゼントが。
今日は、バレンタインデーだから。
修は幼馴染みで、バレンタインには今までなにもあげたことがない。
修に限らず、誰にもやったことがない。
やる気にもならなかったし、柄じゃなかった。
なのになぜか今年は、あげたい気分になった。
高校最後のバレンタインだから、記念にくれてやりたくなったんだろう。
「なんでオマエ、夕日ばっか撮るの?」
「朝日は朝早くて起きられないからに決まってんだろ」
「えぇ、なにそれ」
撮った写真をプレビューして、気に入ったんだか入らなかったんだかわからないが修はまた撮影を始める。
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