短編集

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その言葉に興味を持ったアンドラスは、セシリアが実質装備している状態になっている箱を調べてみる。 セシリアの『完全雷化』は、自身がノックスとしての血に宿した特殊能力の最強にして最大の力。 血を媒体にして、身体を雷と同質とする能力。ノックスの血族には皆、様々な特殊な能力……則ち、『血の力』を持っており、それがセシリアの場合、雷を関連とする『迅雷』であったということだ。 仮に、物体を焦がしきれなかったとしても、霊体のように箱をすり抜けられる筈だから驚いた訳である。 「もしかしたら、雷を防ぐ効果のある材料で作られた箱かもしれないわねぇ……サレオス御兄様の世界から持ってきたものが幾らかあるのよぉ??」 「あー、度々、私の雷撃で闘技場が壊れるからって色々と建造資材を導入してやしたね。もしかしたら、それかもしれやせん……しかし、血の力を防ぐなんて凄いもんをわざわざ持ってきやしたね……」 ここは闘技場から近いところにある森林地帯。 位置と箱の効果を考えれば、その可能性が高い。 「というか、そもそもどういう経緯でこんなことになったのぉ?流石に歩いていただけじゃ、こうはならないでしょ??」 「ほら、酔うと箱とかに入りたくなるじゃないっすか?」 「いや、普通、ならないわよぉ??」 「え、マジっすか?」 「貴女、猫系獣人の血が飲酒によって騒ぐんじゃなぁい?」 「いやいや、そんなわけないっす……よ……?」 ふと、今までの日常……特に、酒が入ってるときのことを思い返す。 意味もなく柵で囲まれたところに入る。 壁にすりすりと身体を擦る。 同じく壁で爪をガリガリする。 下手したら漏らす。 …………最後のは少し黒歴史とも言えるところ……いや、少しじゃないか。
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