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口調こそ穏やかだけれど、目つきはいつもと少し違う。薄っすらと責めるような気配が漂っていて、冗談を差し挟めそうな余地は無い。だから僕は嘘偽りのない気持ちを伝えることにした。
「富や名声なんかいらないよ。出世できるような器じゃないしね。もし許されるのなら、ありふれた仕事を全うしながら、静かな田舎町でのんびりと暮らしたいなぁ」
「なるほど。それは広い家ですか? それとも小じんまりとしたものですか?」
「不便を感じなければ狭くても良いかな」
「子供は何人くらい欲しいですか?」
「考えた事もないよ。2人か3人じゃないかな」
「犬派ですか、それとも猫派ですか?」
「どっちも好きだけど、猫の方が好きだと思う」
「ありがとうございます。大変参考になりました」
「う、うん。お役に立てたなら幸い……?」
無関係な話で気が紛れたのか、いつの間にかオリヴィエは普段の調子を取り戻していた。視線に慈しむような色合いを感じるけど、きっとそれは気のせいだろう。
それはさておき、お勤めだ。といっても定職に就いた訳ではなく、毎日のように持ち込まれる悩み事を解決するのが僕たちの仕事となっている。今日はとある地主さんから依頼があり、ペットの散歩をお願いしたいらしい。わざわざ人を雇う事かと思っていたけど、実際に目の当たりにすると納得がいった。
「これは、すごい数だね……」
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