第14話 祭りの後

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ーーちょっとちょっと、人があれこれと忙しくしてるってのにさ。美人とデートしてるだなんて良いご身分じゃん?  詰るような声色だ。顔を見なくても不機嫌さが分かるようだけど、そんなもの知った事ではない。 「女神様。ようやくのお出ましですか。随分とほったらかしにしてくれましたね」 ーーこちとらスッゲェ大変だったの! 上司から怒られちゃうし、毎日遅くまで残らなきゃならないし、ほんとロクな事ないんだからね! 「大変だって言うけど、それは自業自得ですよね? あなたが不真面目だったせいですよね?」 ーーグッ……。真島みたいな事言わないでよ。アタシはこう見えても繊細なんだから。 「誰ですかマジマって。その人も神様なんですか?」 ーーうん、まぁ近い存在かな。ところで、声はもっと落とした方が良いよ。アタシの声はレイン君にしか聞こえてないんだし。 「……それ先に言ってくださいよ」  傍目からしたら、僕はきっと唐突に騒ぎ出した人にしか見えないだろう。ただでさえ容貌に難があるのに、奇癖まであると思われたら大変だ。オリヴィエだって流石に気色悪く思うだろう。そう思って隣を恐る恐る確認すると、意外も意外。予想とは真逆の反応を示していた。     
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