第14話 祭りの後

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「ミクちゃん、今はちょっと静かにしていてもらえます?」 「ああもう皆んな同時に喋らないで! 何言ってんのかわかんなくなっちゃうよ!」  一斉に話しかけられるにも限度ってものがある。女神とオリヴィエだけでなく、ミクロまで参戦してきたのだから、もはや収拾すら怪しくなる。だけど、その局地的な混沌(カオス)も女神の退場で終焉を迎えたのだ。捨て台詞的に『はいはい、おデートの邪魔して悪かったね呪われろ』という言葉を残して。あの人は一々つっかからないと気が済まないんだろうか。  ともかく、耳元の不快感(おつげ)は消えた。だけど問題が解決しきった訳じゃない。オリヴィエがすっかり熱狂状態(オーバーヒート)となり、僕にしがみついてきたのだ。さらに間の悪い事に、草原で遊ばせていた子犬があらぬ方向へ駆け出してしまった。その先には森があり、潜り込んだなら魔物に襲われてしまうかもしれない。 「オリヴィエ大変だ、犬が逃げた!」 「レインさん! レインさんったらもう! どこまでも聖者さん、途方も無いほどに聖者さん!」 「離してってば! あの犬を追わなきゃ……」     
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