第15話 心の傷跡

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「ええ、もちろん。そもそもベッドも1人1台など贅沢です。身を寄せ合えば2人1台で事足りるのですから」 「それは流石にダメでしょ!」 「あぁ、すみません。私は神に仕える身。いくらレインさんであっても、体を許すことは出来ないのです。貴方の望みに応えられず申し訳ありません」 「僕の望みは部屋を分ける事だよ」 「ですがご安心ください。後ろからギュッと抱き締めたり、頭をナデナデするくらいなら許容としています」 「君は僕の事をなんだと思ってるのかなぁ?」  それからも意見だけが分かれたままとなり、結局は現状維持となった。どんな言葉をもってしても無駄。彼女は頑として譲らなかったのだ。  なので、昨日までと同じ部屋に戻る事となった。オリヴィエはどこか機嫌良さげにしていたけと、僕は違う。部屋割りの件が引っ掛かっているのではない。この時には既に強烈な睡魔に襲われていたからだ。最近は妙に眠りが浅く、満足に熟睡できていないのが原因だった。 「そういえば、もうすぐ『光珠の日』ですね」 「お祭りがあるんだよね。大通りじゃ準備を始めてたな」 「街をあげての祝事ですもの。子供だけでなく、大人もソワソワしていますね。グスタフさんにも会えるでしょうか?」 「さぁね。彼は今、山にでも籠ってるんじゃないかな」     
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