68人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーどうよ。これで変更可能になったから。役職の所に指で触れてみな。そうしたらどんな物でも選びたい放題だよ。
「選びたい放題……ですか」
ーー武器の弱い序盤は守護者や拳聖が良いかな。素手でも強いからお勧めだよ。万能路線なら救世主か聖騎士あたりが……。
「あの、変わりませんけど?」
ーーえっマジで!? 編集状態なのに?
「それが何なのかは知りませんけど、ともかく変えらんないですよ」
現実ではご高説と真逆の事が起きていた。僕の指は虚しく【変態】をなぞるだけで、変化の兆しすら見ることが出来ていない。
ーーほんとだ、なんで変更不可なのよコレ……ッ!
耳に届く声から余裕が消えた。嗤(わら)われないのは嬉しいけど、同時に不吉な予感が襲ってくる。
ーーええとね、これから担当者に聞いてくる。だからそれまで独りで頑張って!
「ちょっと! ほったらかしにする気ですか!?」
ーーまぁ別に死んだりしないっしょ、平気平気。じゃあ後はよろしく。無茶しないでねー。
「ねぇ、待ってったら!」
それきり声は聞こえなくなった。あんな酷い人でも、居なくなると心細く感じるんだから不思議なもんだ。
最初のコメントを投稿しよう!