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「嫌だなぁ。これでも私、ハコニワ管理は長いんですよ? もう完璧ですから。次回開催の『邪神軍撃退イベント』も完璧に運営してみせますって!」
「妙に余裕があるんだな。大言壮語の割には、やたらとシステム連中にちょっかいを出しているようだが」
「えっと、それは……飲みに誘おうかなぁって。あはは」
「オフの話よりも、ちゃんと業務に集中しろ。それから別件だが、ハコニワ内で暴動が起きてるぞ」
「ええ! どうしてですか!?」
「理由まで私が知っていると思うか。ともかく、管理画面から沈静化させろ。ユーザーからクレームが来る前にな」
「わっかりました、最優先で片付けます!」
「頼むぞ」
私は受話器を静かに置いてから、急いでハコニワ管理画面を覗き込んだ。すると、東大陸のブレイメルという町で住民が総出になって、刃物を片手に大暴れしてる事が分かった。彼らは皆が発狂状態(オーバーヒート)となっており、徒党を組んで狭いエリアを右往左往している。
「何よこれ。初めて見たわ……」
この時になってレイン君の事を思い出した。あの極めて異質な存在が、この稀少な事件と無関係とは考えにくい。そして原因が彼であるなら、危険の真っ只中に取り残されているかもしれない。焦りを感じながら画面を注視すると、彼を見つけた。町から離れた森の中に居たのだ。とりあえず無事を確認して大きく息をつく。
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