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「はい。ですが、大いなる使命を負う事が条件となります。やがて来る大乱を、世界の安寧を脅かす未曾有の危機を、貴方の力で打ち砕いて欲しいのです」
「あ、あの、お言葉ですが! 僕は何の取り柄もない平民の男です! そのような大それた事は……」
「それはつまり、力を授ければ請けるという事ですね?」
「あ、いや、その」
「オッケーオッケー。そりゃアタシだってそのまんま送り出すつもり無かったよ。じゃあひとまずは甦り決定って事で良いよね、うん」
女神様は急に格好を崩すと、宙にいくつもの光る玉を浮かべた。それをひとつひとつ眺めては唸り声をあげる。何を始めようとしているのかは分からないけど、引き返せない段階になりつつある事だけは物凄く理解できた。冷や汗が止まらなくなる。
「ええと、名前はレイン君だったよね。良さげな役職はっと……」
「あの、すいません。もう少し考えさせてもらえたら、嬉しいんですが」
「おっとぉ。これなんか……ブフッ、良いんじゃないかな」
吹き出した。僕の話なんか聞かず、楽しげな感じで笑い始めちゃってますけども。
「ほんじゃあ、アンタには新たな命をあげちゃうから。上手いことやってよね」
「あの、僕の話を聞いて……ッ!?」
辺りが突然輝いたかと思うと、僕の意識は途切れた。まるで強烈な睡魔に負けた時のように。
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