報告書A 箱庭プラネッツ

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「それ、おかしいよね。アンタらで作ったデータなんじゃないの?」 「この珍妙な役職はかなり複雑な造りでな。自前で作れなかった。だから外部から凄腕を雇って、期間限定で出向してもらったんだよ。だがソイツはもうここには居ない。だから誰にも修正が出来ないという状況だ」 「何よそれ。じゃあその人をまた呼べば良いじゃないの」 「それが上手くいかないからミーティングしてたんだよ……」  電話越しでも疲れがわかるほど、深い溜息が聞こえた。向こうは向こうで修羅場なのかもしれないと思う。そして、簡単には解決しない事を確信させられた。 「ええと、例のアレを救世主ポジションの子に設定しちゃったんだけど、どうしたら良いかな?」 「お前! よりにもよって大事な枠に何してんだ!」 「アタシだってすぐに戻すつもりだったよ! まさか変更不可になるなんて考えもしなかったからね!」 「まったくよぉ。次から次へとトラブルが……」 「んで、どうしたら良いの? 応急処置で良いから、この哀れな重病人を救ってあげてよ」 「ハァ……。その役職はだな、無条件で人から疎まれ、嫌悪されてしまう」 「それは知ってる」     
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