第10話 魔法のある暮らし

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 残りの2匹が同時に飛びかかってきた。相変わらず素早い動きだが、今ばかりは僕の方が上だ。最小限の動きで避けながらカウンターで両断する。そうすることで瞬時に3匹を倒すことに成功、危なげの無い勝利だった。 「お見事です、レインさん」 「いやいや、オリビィエのおかげだよ。こんな簡単に倒せるだなんて、魔法って凄いんだね」 「お褒めいただけて嬉しいのですが、無制限に使える訳ではありません」 「あぁそうか。日に使える回数が限られているんだっけ」  魔法というのは使用者の気力を大いに削ってしまうようなのだ。1度でも深く眠れば回復するんだけど、裏を返せば他に手段は無い。無理を重ねた結果、気絶してしまう魔術師も珍しくないのだとか。 「回復だけなら3回、俊敏なら5回が限度とお考えください。両方を組み合わせた場合は、その回数にも変動が起きます」    「回復の方が重たいんだね。分かったよ」 「精神力を使い果たせば昏睡状態に陥ってしまいます。その時は私も抵抗ができませんので、レインさんに好き放題されてしまう……」 「君に決して無理はさせない。2回、4回と覚える事にするよ」  何故か肩を落としたオリビィエには構わず、付近の探索を続けた。見つかったのはポリトリの実とスライムの群ればかり……かと思いきや、予期せぬ収穫があった。  それはステータスカードが眩く輝いた事で、僕たちは認識したのだった。 「な、なにこれ!?」     
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