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付近に人はもちろん、生き物の姿すら見えない。それを良いことに好き勝手生きてやろうかと思っていたら、突然あらぬ方から声が聞こえてきた。
ーーおっ。上手くいったみたいね。復活おめっとう。
「えぇっ! め、女神さま!?」
辺りを見回したけど、やっぱり誰も居なかった。そのくせ耳元で話しかけられているような感覚がして、強烈な違和感を覚えてしまう。
ーーああ、細かい事は気にしないで。アタシはなんつうか、空から全部見れるし話しかけられんの。オッケー?
「あ、はい。そういう感じなんですね……」
ーー何よ、サボろうとでも思ってたの? アンタには使命があるんだから、ちゃんとやって貰わなきゃ困るんだよねー。
「いや、僕は戦いなんて素人なんですよ! この体も特別強くは無さそうだし……」
ーーまぁまぁ落ち着きなよ。アタシだってさすがに平凡な子に無茶ブリなんかしないってば。
「そ、そうなんですか?」
ーー論より証拠。ステータスカード見てみな。それとも身分証って言った方が分かりやすい?
「ちょっと待ってください、ええと……」
僕はポケットをまさぐると、一枚の紙を掴み出した。このステータスカードとは、全ての住民に必ず与えられている魔法の紙だ。本来は王都に入る時に身分を明かすために使用するものだけど、普段は能力の確認に使用されるのだ。
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