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それに装いも独特だ。身のこなしを重視してか、妙に軽装なのだ。上半身は小さな胸当てと、利き腕を守るアームガード、そして両手に手甲があるだけだ。それ以外は素肌を隠す布すら身に付けていない。下半身も丈の短いズボンに膝当てのみ。これで実力が追い付いていなければ、そこそこの変態にしか見えない。
僕と比べて、どっちが不適切な格好に見えているんだろう。やたらと『ギリ陰部』だの『割と出てる』だのと言われると、自分がどの程度酷いのか気になってしまう。
「ところでアンちゃん。アンタも随分と軽装じゃないか。オレと同じ拳士タイプなのかい?」
「えっと、僕のは違くって……」
「レインさん。まずは自己紹介を兼ねて、これまでの経緯を説明しませんか?」
「うん。その方が良さそうだね」
勧めに従って、僕は全てを明かした。女神から試練(のろい)を頂戴した事。ブレイメルでの事件や、ムシケでの依頼までも事細かに。
グスタフはその間、じっと僕の言葉に耳を傾けてくれた。茶化すこともせず、もちろん敵意を見せる事すらない。それどころか話を聞き終えるなり、僕の肩を親しげな素振りで抱き抱えたのだ。口から紡がれた言葉は神妙であり、先ほどの豪放さは鳴りを潜めている。
「大変だったなぁ。若ぇのに苦労しすぎだぞ」
「あ、ありがとう。グスタフさんは、僕の事が気持ち悪くないの?」
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