第18話 立ち込める暗雲

1/8
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ

第18話 立ち込める暗雲

 あれからどうにかして宿屋にまで戻る事が出来た。このままベッドに潜り込んで寝てしまいたいけども、依頼の報告が先だ。疲れた体にムチ打って武器屋へと向かう。ちょっとした段差ですら越えるのが辛いけども、街中であれば魔物に襲われる心配はなく安全そのものだ。 「レインさん。もう少し休んでからでも遅くないのでは?」  依然青い顔をしたオリヴィエが言う。君こそ寝てたら良いと思う。というか出発前に留守番を頼んだけど、それは断られた。何でも「病める日も健やかなる時も」とか、どうたらこうたら。なのでこうして、病人のような顔を並べて歩いている。傍から見たら老々介護のような2人組がチマチマと往来を征く。すれ違う人の『大丈夫かい?』といった心配げな声に愛想笑いを振りまきつつ。  夕闇が街を染め、かがり火がアチコチで点けられた頃、ようやく武器屋へとたどり着いた。看板を片付けようとする店主と目が合うと、彼は重たそうな腹を揺らしながら駆け寄って来た。 「聖者のあんちゃん、首尾の方はどうだい!?」 「この通り、どうにか全部用意したよ」 「いやぁ助かった! 恩に着るよ。まずは中へ入ってくれ!」     
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!