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第8話 この道の先には
オリヴィエは迷う事なくドンドン進んでいった。彼女の日課に薬草採りというものがあり、森林地帯は頻繁に足を運んでいたそうだ。言葉通り手慣れた感がある。些細な目印を探し当てては時々向きを変えて、道なき道を行く。
すると次第に文明の跡が垣間見えるようになる。人工の道に立て看板、小川にかかる橋。それらを通り過ぎる度、僕の胸には冷たいものが走るのだ。
「レインさん。後はこの道を進むだけで戻れますよ」
真っ直ぐな口ぶりに対し、僕は返事は曖昧なものになった。所々雑草の生えた粗雑な道だ。その先では森が切れており、太陽によって明るく照らされていた。それがどうにも不吉に感じられて、思わず閉口してしまうのだ。
「ご安心ください。必ずや、あなたに降りかかった冤罪を晴らしてみせます」
自信に満ち溢れた声だ。手も相変わらず繋いだままだ。僕は脂汗を沢山かいているハズなのに、彼女は嫌がる素振りすら見せない。なぜここまで肩入れしてくれるのかと、不思議でならなかった。
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