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第11話 ホラ以上の嘘未満
ブレイメルを飛び出して3日目。ポリトリの実に飽き飽きし、スライム退治に手慣れた頃にようやく目的地へと辿り着いた。
ここは港町ムシケ。入り口から緩やかな下り坂が続いていて、道の先には入り江が見える。ここは東西大陸を結ぶ玄関口であるため、海路を往復する大型商船が数多く走っている。そこへ無数の漁船が加わるのだから、沖合いは相当に混雑していた。
さすがは東大陸北部で最大の町だ。世界でも指折りの発展ぶりには心が躍ってしまう。外観も威厳と華やかさが同居していて立派なものだ。歴史の古さは通りに敷き詰められたレンガの様子から。そして豊かさは、新旧の建物が整然としつつも、ひしめき合っている事から窺い知る事が出来た。
「レインさん。まずは宿屋に寄ってはみませんか?」
「それは良いんだけど、きっと追い返されると思うよ」
道行く人々は僕たちを、いや僕を見据えては怪訝な表情を浮かべた。この冷遇ぶりがブレイメルでの記憶を鮮明に呼び起こす。
「私に妙案があります。交渉に発展すると思われますので、レインさんは話を合わせていただけますか? 必要が生じた場合のみで結構です」
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