第12話 洞窟の怪

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第12話 洞窟の怪

 町の人たちが持ちかけた相談とは、とある洞窟の調査だった。本来なら弱い魔物が潜んでいるらしいけど、ここ数日のうちに不穏な気配が感じられるようになったそうだ。  『皆が不安に想っている。商売にも悪影響が出だした』と言ったのは、代表者である武器屋のおじさんだ。調査するにしても高名な冒険者を雇う金がなく、かといって初心者に頼んでは銭失いになりかねず、ほとほと困っていたんだとか。そこへ聖者の噂を聞きつけてやって来たそうなのだ。 「僕も駆け出しの冒険者ですよ」  そう断ろうとしたのだけど、オリヴィエが2つ返事で承諾してしまった。その結果として、僕たちは町外れにある噂の洞窟まで来ている、という訳だ。 「まったく……安請け合いしちゃうんだもんなぁ」  洞窟の内部は暗い。そして入り口からは既に、大型獣のような唸り声がうっすらと聞こえるのだ。こうなってしまえば恨み言の1つでもぶつけたくなってしまう。 「レインさん。この話には3点のメリットがあります。逃す手はありませんよ」 「そうなの? 僕にはピンと来ないなぁ」     
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