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第二章・―手紙―
――前略。
初めて貴方に手紙を書くように思います。
貴方が今、この手紙を読んでいるという事は、僕はきっともう、この世にはいないという事ですね。
先立つ前に、どうしても貴方に言っておきたい事があります。
貴方に“大嫌い”だと言った時の表情を、僕は永遠に忘れないでしょう。
ですがあれは嘘なのです。
本当は、僕は誰より貴方の事が大好きで、父親としてでなく、一人の人間として、誰より貴方を尊敬していました。
僕が反発してしまったのは、貴方と同じ理由からなのです。
僕は貴方と、息子としてどう接して良いのか理解らなかった。
ただ尊敬していて、どうすれば貴方の前で息子でいられたのか、接し方が理解らなかったのです。
そう、だから友人が貴方の事を馬鹿にした時、本当に頭にきて、手をかけてしまったのです。
僕は取り返しのつかない事をしてしまった。
それでも貴方は僕を見捨てなかった、言葉を一切交わさなくとも、毎日来てくれるだけで嬉しかった。
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