第二章・―手紙―

3/3
前へ
/10ページ
次へ
 ですが僕は、同じ理由で一緒に暮らす事実に怖じ気付いた貴方が、このまま僕を見捨ててしまう事の方がもっと怖い。  だから、自ら命を断つのです。  ですがもしも逢えたら、迎えに来てくれたなら、最後の希望を掴めた貴方と僕には、この手紙は必要なくなります。  そしてきっと、ずっと、ぎこちないながらでも、本当に親子として隣に立ち、生きていける事が出来るでしょう。  ……でも多分、残念ですが、貴方はきっと、否、絶対にこの手紙を読んでいる事でしょうね。  生きている間に一度でも、貴方と親子らしい事をしたかった。  でも出来なかったから、それだけが心残りでなりません。  最期に、それでも僕は、貴方の息子に生まれてきて良かった。  親不孝な息子で、本当に申し訳ありません。  先立つ不幸を、お許し下さい。  少し照れくさいですが、後一言だけ。  ……父さん、今までありがとう、そして永遠にさようなら。  ――早々。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加