第1章 桜の樹の下で

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 ちょっとワガママなところもあるのだけれど、不思議と誰からも好かれる。  それなのにクラスのどのグループにも入ろうとしない。  わたしだけは特別で、いつも芽衣と一緒にいた。  負けん気が強く、わたしが男子に泣かされた時には、その小さな体で相手に飛びかかっていった。  芽衣が何かにつけてわたしをライバル視するので、たまに喧嘩になるけれど、11ヶ月も先に生まれたわたしは大概のことで先に折れた。  画面が変わり、波打ち際で遊ぶ3人の姿が写った。  放課後や休みの日、わたしと芽衣の間にはいつも純也がいて、ことあるごとに取り合いをした。  他のことでは何でも芽衣に譲ることができるのに、純也のことになるとわたしは少し自分を見失った。   純也が初恋の人だったから。
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