第1章 桜の樹の下で

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 一度、芽衣の憎まれ口に我慢できず、「わたしは純也と結婚できる」と言い返したことがあった。  その仕返しに、純也の目の前でおもいきりスカートを捲られた。  確か3日くらい口を聞かなかったきがする。  それ以来、わたしは芽衣の前でその気持ちを封じ込めた。  純也はそれに気づいたのか、芽衣の前では平等を心がけ、2人きりになるとそれまで以上に優しくしてくれた。  桜が散り紫陽花が咲いてセミが鳴き、落ち葉が散って雪が降り、そしてまた桜が咲くまでの間、毎日あの公園で3人一緒に放課後の時間を過ごした。  いつまでもずっと続けばいいと思ってたのに。  中学に上がった純也が先に去り、今度はわたしがそこから去る。
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