第2章 空白

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 多分、パパと買い物をしてるところを見られた。  練習に出ても、ボールが私の前を素通りしていく。  完全に空気扱いだった。  陸上なら身長もそれほど影響しない。  個人技だから、たとえ周りが無視しようとも練習に影響はない。  それに駆けっこは得意だから、との思いで部を移った。  しかし一人で走ることに何の面白みも感じられず、直ぐに辞めてしまった。  芽衣がいたから、芽衣と競い合ったから駆けっこが楽しかったのだとその時気づいた。  それでも何人かの友達はいた。  でも、何でも言い合えて何でも相談できる、心の通い合った親友と呼ぶには程遠い関係だった。
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