第1章 桜の樹の下で

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 「あのね。2人に言わなきゃいけないことがあるの」  「なになに」  「何だよ? 大事なこと?」  呑気な芽衣と、すっかり声が変わってしまった純也が言った。  「うん。わたしにとっては凄く」  3人でブランコを漕ぎながら、わたしはやっと伝えた。  「明日、海老名に引っ越しするんだ」  芽衣がブランコから飛び降りて振り返った。  「なんでそんな大事なこと!」  戻ってきたブランコの直撃を受け、悶絶しながらも芽衣が叫んだ。  「バカ!」  「俺、ヒロちゃんに言ってくる!」  純也が自転車を置いたまま、駆け出した。
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