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関係は継続中
今日は春分の日。半年ぶりに会えるんだ、と思うと、俺はすっかり周りが見えない状態になっていた。
生憎の雨だったが、速足で墓地へ向かう。
ところが、我が家の墓前には目当ての人物ではなく、見知らぬ男が突っ立っていた。
「――誰だ、おまえ」
「睨まないでくださいよ。伝言を頼まれてきました……今日は会いたくないそうです」
半年ぶりなんだぞ、すぐさま連れてきてくれ、と喚く俺を気にすることなく、彼はどこからともなく取り出したメモに視線を落とした。
「あなたの反省具合によっては、彼女も出てくるかもしれませんよ」
心当たりのある俺は、慌てて殊勝な顔を作った。
「あなたは去年のハロウィンに、アフロヘアを被った滑稽な姿で、渋谷に繰り出しましたね」
男の言葉に、心臓がドキンと跳ねた。まさか、いきなりソレだとは思わなかった。
「……若い奴らと話を合わすためだったんだ」
部下に、「触られるほうがスリリングですよ」と囁かれて心が動いたことは黙っておく。
「阿鼻叫喚の渋谷に突進していったあなたは、女性の身体を触りまくったのではないだろうか、品がない! と彼女は大変お怒りです」
「ご、誤解だ! 触られた側だぞ、俺は!」
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