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そんな彼らの横にある壁にはどこかの単車のチームの古ぼけた写真が額に入れられて飾られてある。
「壱番光」と書かれた大きな真っ白な旗をなびかせ、数人の若者達が背中にツバメの刺繍の入ったおそろいの白いスイングトップにジーパンといったいでたちで写真に写っている。
「いつ見てもカッコいいよなぁーいちばんひかり!」
「バッカぁーっ、あれはいちばんびかりって読むんだぞ、ねー、マスター。」
「はは、その通りだよ。」と由紀人。
愛想笑いして答えている顎髭を少し生やしている気さくなこのお店のマスター住友由紀人も実はこの単車チーム
「壱番光」に属していた。
そう、かつて愛知県下で最強最速を誇るレジェンドとまで今も語り継がれている単車チーム「壱番光」
に彼は確かにいた。
輝ける青春を送っていた。
大学生達の会話はさらにヒートアップして壱番光の伝説と言われる話を口々に話して盛り上がっている。
そんな彼らの話と店内に流れるBGMのロックンロールの音楽が混ざり合ってなんとも心地よくなっていた由紀人は自分のあの熱い星のように輝いていた青春時代を懐かしんでいた。
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