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「少し酔ったので、しばらくこのまま冷やします」
梅酒の入ったロックグラスを目元に押し当てた倫音の顔色は、確かにいつもの統一感がなく、血の通いを感じさせた。
「倫音ちゃん」
手を伸ばせば触れることのできる顔に近づくこともできたのだけれど。
敢えて距離を保ったまま、タカシは声のみをかけた。
「いつでも、助けに行くからね」
「頼りにしています」
いつも通りに淡々と答えると、天井の薄暗い明かりを仰ぎながら、倫音は梅酒のロックを一気に飲み干した。
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