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「こんな素材の良い子を、デパ地下やスーパーでハムだの漬物だの売らせるの?」
容姿を『素材』と言ってのけるところに、末永の業界人らしき態度と体質が垣間見えた。
「販売の代わりはいくらでもいる。芸能の代わりは、何人もはいない。選ばれた人間しかこっちには来られないし、彼女には、それだけの価値がある」
畳み掛けるように、末永は持論を展開する。
「相変わらず、販売を見下してるわねぇ…でも、確かに芸能にも彼女ほど目を引く子はいないでしょうね」
自分を取り合っているというのに、倫音は他人事のように2人のやり取りを遠巻きに眺めていた。
「私たちがやり合っても、らちが明かないわ。本人の意思を確認しないと…」
亜希と末永は同時に尋ねた。
「天崎さんは、どうしたい?」
「私は、必要とされる場所へ行きます」
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