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「あれ…佳乃ちゃんと春生とアキラは?」
酔いつぶれる寸前だった恵子は、カウンターで意識を取り戻し、店内を見渡した。
「春生を寝かし付けるからと、帰りました。アキラさんも一緒です。これで3回目です」
隣で3杯目の梅酒ロックを水のように飲みながら、倫音は業務報告のように答えた。
「ラブラブカップルめ…若いって、いいわね」
珍しく管を巻く恵子に、シェーカーを振りながら、タカシは子どもをあやすように優しく告げる。
「タクシー呼んどいたから。これ飲んだら、恵子ママもお開きにしようね」
シェーカーの中身を丁寧にカクテルグラスに注ぎ入れると、微笑みながら「はい、最後の一杯」と差し出した。
「わ~、綺麗なオレンジ色…」
グラスに唇を付け、液体を口に含んだ瞬間、吹き出しながら恵子は叫んだ。
「これ、ウコンじゃないの!」
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