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―――  SNSの扱いが達者なわけでもないのに僕がブログを立ちあげたのには、三つ理由があった。ひとつは単なるボケ防止、もうひとつは記事にも書いた通り、「自分」が生きていたという証を何かしら残しておきたかったから。そして最後は、このブログを通して「ある人」へ僕の想いを伝えたかったからだ。  ただ、今はどこにいて何をしているのかも分からないし、インターネットという広く深い海で、たったひとつの目立たない(ブログ)を見つけてもらうことはまず不可能だと思っているので、とりあえず今はブログを継続させようと思う。  そういうわけで、僕は記事を書くために自分の過去を振り返ってみた。  ***  父は地方公務員、母は小学校教諭、都会でも田舎でもない小さな街に生まれ、裕福でも貧乏でもない家庭で育った。  両親の堅実で保守的な性格を受け継いでか、僕は小さい頃から目立ちたいほうではなく、勉強もスポーツも平均的。友人とは近所の公園で和気藹々と平和に遊び、これといったトラブルも起こさずやってきた。まったく悪さをしなかったこともないが、大抵は笑って許される程度の悪戯でしかない。  中学校では不良グループにも真面目グループにもどちらにも属さない無害な存在。唯一、友人に誘われるままに入った剣道部では多少センスがあったのか、中学二年の時に全国大会に出た。だが、全国に出てみるとやっぱり良くも悪くもない結果で終わる。  見た目もそうだ。身長は背の順で並ぶと真ん中あたり、剣道のおかげでそこそこの筋肉はあったが、野外スポーツをしている人間には敵わない。硬い黒髪、大きくも小さくもない目、高くも低くもない鼻、眼鏡をかけると更にぼやけた印象になる。  初恋は中学一年、初めて彼女が出来たのは中学三年。極めてプラトニックなお付き合い。
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