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「お父さんなんかどうせ力にならないくせに!」 「いい加減にしろ!!」  勢い余って怒鳴ってしまった。さくらがビクッと肩を跳ねさせる。 「我儘も大概にしなさい! 自分の意志もしっかり持たないで、そうやって反抗するばかりで人の意見も碌に聞かないのに応援しろって言うのが間違ってるだろう! お前ももうすぐ十五になるんなら、少しは真面目に考えたらどうなんだッ!」  バタバタと階段を駆け上がる足音が響き、かなえが「どうしたの」と慌てた様子で現れた。ここで全部話したら、余計ややこしくなるので、僕は無言でかなえに託し、部屋を出て行った。一階に降りるとさくらが声を上げて泣いているのが聞こえた。 僕はこれまでさくらを叱って泣かせたことなんかなかった。怒鳴るなんて以ての外だ。それでも抑えきれないほど怒りをぶつけてしまったのだ。  皺くちゃになった川原くんの絵を広げて、ますます悲しくなる。まるでぐちゃぐちゃに絡まって解けなくなった糸のように、家族三人の笑顔にたくさんの皺がついている。 「ごめんね、川原くん。……失敗したよ」
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