1210人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
4
――息子がいたら、こんな感じだったのかなぁ。――
……川原くん、温かったな。困ってたけど、それがまた可愛かった。
きみは二年も家族に会わなくて寂しくないのか?
僕が川原くんに頼ったように、川原くんも僕を頼ってくれたら、甘やかしてあげるのに。
そうだな。ころころパイを食べて、頭も撫でてあげようか。十九の男の子は頭を撫でられるなんて嫌なんだろうか。
『撫でるのは頭だけですか?』
えっ。
『肌にはけっこう自信あります。福島さんより若いから』
そりゃ、そうだろうね。
『髪だけじゃなくて、全部撫でて下さい』
だめだめ、何やってるの。寒いのに服なんか脱いじゃ駄目だよ!
『福島さんが抱き締めてくれたらあったかいから大丈夫』
こ、こら! ぼ、僕には妻と娘が……っ、か、川原くん……かわ……、
「はっ!!」
目覚めると爽やかで寒い朝。カーテン越しの朝日で部屋がうっすらと明るい。ここ最近なかった、男性特有の朝の現象に動揺してしまった。
「なんつー夢だ……」
脂汗と動悸で息切れしている僕の隣ですやすやと眠るかなえに、ひどく罪悪感を覚えるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!