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もう、腹減ったし一個食うか。やっぱり、最初はこれだろ!辛子明太子。袋から取り出し包装を外そうとしたその時、手が滑って地面に落ちる。
うわっ。最悪。まだ、開けてなくてセーフ。っと思ったがない。あれっ?おにぎりない。っていうか何だこれ?コンビニの前の道路に真っ黒な穴が空いている。
マンホール蓋ないのか?危ねえ。落ちたら死ぬだろ?
いや、違う。金属の縁みたいのがない。マンホールじゃない………?
膝をついて覗き込んでみた。中が見えない。暗闇だ。
何だこれ…。突如現れたブラックホール。恐怖すら感じる。まさか俺の辛子明太はここに落ちたんじゃ?
っち。最悪だよ。もう、ツイてないことばかり。
諦めて帰ろうとしたその時。穴の中から何やら楽しそうな声が聞こえてきた。
『おむすびころりん、すっとんとん』
えっ?信じられず穴に耳を寄せる。
『おむすびころりん、すっとんとん』
いや、間違いない。間違いなく穴の中から聞こえてくる。これ、あれだ。昔話のやつだ。絶対に聞き間違いじゃない!
確信を得るため、大事にとっておこうと思った鮭も放り投げる。
『おむすびころりん、すっとんとん』
思った通りだ!これはあの有名なやつじゃないか!はっと気付いた。これはあくまでも昔話。今と昔じゃあまりにも違いすぎる。最大の違いを穴に向かって叫んでみた。
「ねぇ、個包装大丈夫ー?フィルム取れんのー?」
いや、そんなばかな。何やってんだ俺は。そんな話が現実にあるわけないか。しかし、気になる。もう一度。
「こほうそ……」
……って。えっ何だ?やばい。穴に吸いこまれる。
俺は深い闇に落ちていった。
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