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穴の外
あぁぁぁぁぁぁ。浮遊感から解放された。
「ハァハァ………」
辺りを見るとコンビニの道路の前。穴に落ちる前にいた場所だという事が分かった。
戻って来たんだ。そうだ。穴は?そう思い辺りを見たが穴は無くなっていた。
夢でも見ていたのか?そう、思ったが、手の中に感じる確かな金属の感触。それが夢ではない事を物語っていた。
一体、どれ程の価値があるのだろうか。小判なんて初めてだよ。どこで換金すればいいのか?どれ程の値が付くのか?頭の中はそれでいっぱいだった。
鼓動が高鳴る中、手を開いてみた。
………は?
シルバーに輝く馴染み深い小銭が二枚。
誰がどう見ても200円だった。
込み上げる感情。わなわなと震えが止まらなかった。抑えきれない。どうしても今の思いを吐き出さずにはいられなかった。さっき見た穴のあった場所に全力で吐き捨ててやった。
「今、セール中じゃないからぁぁぁぁ」
〈終〉
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