プロローグ 夢見ル者へ

1/3
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ

プロローグ 夢見ル者へ

僕の話をしよう。 僕は、一般的に金持ちといわれる家で育てられた男だ。何の不自由なく、しかし、厳しい教育のもと、今日、十九歳まで育ったといえる。とは言っても、今年の七月に二十歳を迎える身である。家に縛られるのも飽き飽きしてきたし、独立を目指して、バイトを始めようかと思っている。そんな今日この頃、大学二年の春。 容姿については、可もなく不可もなくというところ。平均的な方だと思う。顔についても、モテすぎる訳でもないから、ふつうだろうし、髪を染める気はさらさらないので、地毛の黒髪を無造作に生やしたまま。(もちろん、数か月に一回はカットしている)そのためか、幼さはあまり抜けていないと、友人(と思われる)砂山には言われる。それが悔しいので、洋服だけは一人前ぶって無地のものを着こなしていたりする。これは男のプライドだ。 ちなみに、恋人を作ったことは多々ある。政略結婚というやつで。でも、みんなうまくいかなかった。それはなぜか。     
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!