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ピリリリリとけたたましい音が聞こえる。これはガラガラの音? いや、ガラガラは電子音じゃない。
瞼の裏に光が差し込んでいる。眩しさに耐えられなくなって、仕方なく重い体を起こす。見覚えがない部屋だ。……ああ、そうだ。昨日は五郎さんの家に泊まったんだった。
「よぉ、おはようさん。よく眠れたかい?」
ボーっとしていると、洗面所から五郎さんが出てきた。さっきまで顔を洗っていたのだろう、サッパリとした顔をしている。
「おはようございます。ちょっと体が重いですけど、まあまあ良い感じです」
「おうそうか。あー……悪いが朝食はないんだ。何か食いたかったら近くにコンビニがあるから、そこで買ってくれ」
「わかりました」
「あっ、廃墟探索のことなんだが俺も行くからな」
「ホントですか! 五郎さんが一緒なら心強いです!」
「その反応、やっぱり聞いてなかったか。寝る前に言ったんだけどな」
「ははは……すみません」
話を聞いていなかったどころか、お酒を飲み始めてからの記憶がほとんどない。メモを取っていた気がするが、ちゃんと読める字で書かれているか不安だ。
「そういや、今日は奥さんのところに帰るのか?」
「いえ、また探す予定です」
「その体でか? ぶっ倒れるぞ」
「根拠はありませんけど、今日こそは見つかる気がするんです」
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