大喧嘩

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『マジでなんなの?w』 『そっちこそなんなん?』 凄惨だ。酷すぎる。私の大切なネットの友達同士が喧嘩してしまった。 『そんな言い合い無意味だよ、やめよ?』 私は仲裁しようともがくが、 『ヒカリは黙っとって?』 『ウチらの喧嘩に口出さないで?w』 との返信。 ヒカリこと私は、リアルでため息をつく。 「はぁ…何でこんなことになったかなぁ…」 理由はわからない。私がチャットをふと見た時にはもう言い争いは始まっていた。 私は、チャット上での仲裁を諦めた。問題を根本的から解決しようと思考を巡らせる。 ひとつ、喧嘩の理由がわからなくても出来る解決方法を思いついた。 早速2人の個人チャットに囁く。 『今度の土曜、遊ばない?』 チャットで話すとき、語尾に必ず?「?w」を付けるワカメ─もちろん偽名だ─には 『サキなんてほっといて2人で遊ぼ?』 と送った。 もう1人、関西弁のサキには 『ワカメなんてほっといて2人で遊ぼうよ!』 と。 待ち合わせの日時と場所を指定する。 2人とも同じ内容を送る。 「よぉーし……」 画面には、私の悪い笑顔が映り込んでいた。 当日になった。2人とも根は真面目なので、5分前に同時に来た。私はそれを見越して10分前に来ておいた。 「やっほーワカメ!」 私は笑顔でワカメに向き合う。 「やっほーヒカリ?w……あれ、サキ??」 ワカメはサキを見つけて指さす。 「えっ……なんでワカメもいるん? なぁヒカリ、2人だけで遊ぼって言うたよな?」 サキは私に歩み寄る。 「えっへへー。サキ、見事に引っかかったね。チャット見直してごらん?」 サキとワカメはスマホを取り出してチャットを確認する。 「あ!」 声が重なった。2人は睨み合う。 「気付いた?2人とも。『だけ』なんて言ってないんですよ?」 私はえっへへ、と頬を緩ませた。 「汚いぞヒカリ!」 サキが憤慨する。 ここからが私の作戦だ。 「じゃあ2人とも!私はここらでおさらばするんで!」 「は?w………?何言ってんのヒカリ?wチャット読んでた???w」 「そっちこそ。『2人』で遊ぼうって、まさか私とだと思ったの? ざんねん不正解?。ワカメとサキで遊んでもらうからね?」 「ヒカリ正気か?アホなんかお前?」 「正気だよ。アホなのは認めるけどね。じゃ、存分にチャットの続きして? あれだけチャットで言い合っておいて、リアルでは言えないなんて、そんなことないよね?」
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