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女性隊長、ローズ・ローザは答える。
「私の隊は西の警備とそれぞれの戦闘区域に兵を派遣し、援護にあたらせました。ですがやはり敵の勢いを留めることは難しく、後は皆さんの知る通りです。シルヴァ隊長と同様に西側には大きな動きはありませんでした」
「ローザ自身はどこを持ち場にしていたんだ?」
「西側のパラゴンを拠点に警備を行なっていました」
「なるほどな…そういえば、カフィは裏切者についてはその後何かわかったのか?」
パラディンは振る相手を変える。
スタットと同時期に裏切者に勘づいた隊長、スプリット・カフィは答える。
「いえ、スタットさんの事件があってからは何も変わっていません。シルヴァさんやローザさんにも情報共有をお願いしているのですが、ガーザスを除いては国境を越えてくる者は現状未確認です」
「お前はこの状況をどう見る?」
パラディンが更に問いかける。
「最初の俺の推測では、スタットさんを"手引きした者"として疑っていたんですが、それは敵の思う壺でした。しかし敵は内乱を目論んでいた訳でもなく、スタットさんを暗殺した」
全員が黙ったまま話を聞いている。
「それ以降はパッタリ音沙汰もない。つまりこの一連の流れは最初から"スタットさんを殺す為の計画"だったとみてまず間違いないでしょう」
「そんな…!」
ローザが思わず声を出す。
パラディンがそれに応える。
「確かにな。スタットの実力なら新型にも対抗、はたまた討ち取ることも不可能ではなかっただろう。それだけインセンスにとっては脅威だったということだ」
「はい、ですが裏切者はまだ必ずこの国にいます。そいつがいつまた動き出すかわかりませんが、次は好きにはさせません」
「そうだな。引き続きアンテナは張ってくれ。次そいつが動くとすれば、状況が大きく動くタイミングだろう」
「わかりました」
カフィは返事をした後に口には出さず考える。
(ガーザスの陣形を流されたのはパラゴンの戦闘時にまず間違いはない…。その線でずっと調べてきたが、どう考えてもそいつは"スタット隊"の人間だが…)
カフィの視線は自ずとロアに向かう。
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