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勝利の亡霊
フリースカイでの一戦はグリーフ王国にとって大きな勝利となった。
中でもロアの活躍は目覚ましく、国民や兵士達を勇気づけた。
これをきっかけにロアはインセンス帝国に『グリーフ・オブ・グリーンの亡霊』と呼ばれていることに対し、国内では敬意を表して『勝利の亡霊』と呼ばれるようになった。
しかし身内では笑いの種になり、からかいのおもちゃである。
「『勝利の亡霊』ってか…。ぷっ」
「おいおいイカした名前つけられてんじゃねぇかよロア!」
「うるさいな!俺が決めたわけじゃないだろ!それに亡霊でもなんでもない!」
新聞を見ながらからかっているのはグリーフ軍の兵士である。
ロアはまだ18歳になったばかりということもあり、周りは一部の同期と殆どの先輩である。
隊長に就任した今も、あまり距離間は変わらず、基本的にいじられキャラだ。
「ムキになんなって。お前隊長になってもそういうところ全然かわらねぇな」
「うるさい!」
半笑いで煽る先輩にロアは更に機嫌を悪くする。
「これくらいにしましょ、先輩。こいつが暴れだすと止められる人、スタット隊長くらいしかいないので」
「トーマス、お前はもっと活躍しろよ…」
皮肉のような言い方をする、サボりがちの同期に対し、ロアも流石に呆れた様子で返した。
「はい、はい。お前と一緒にされたら困るんだけどな」
両手を上げて降参ポーズをとったトーマスを見て隊長ロアは溜息をついた。
すると、雑談している3人の部屋に副隊長のパビリオンが入ってきた。
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