勝利の亡霊

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「おい、ロア。そろそろじゃないのか?準備は出来てるのか?」 「しまった、すっかり忘れてた!」 ロアは慌て始める。 この日は隊長会の招集がかかっており、王都ソレイユに向かわなければならないのだった。 「おいおい、しっかりしてくれよこの先不安になるぜ隊長ぉ?」 「くっ、このっ!」 先輩の煽りにイラッとくるロアだったが、そのまま急いで支度し、『ロア隊』の陣地を後にした。 「ヤバイな…。このまま行ったら本当に間に合わないぞ…!仕方ない…」 慌てながら走るロアは腕に巻いたアクセサリーのスイッチを徐ろに押した。 するとアクセサリから煙のようなものが吹き出し、忽ちロアはラストアーマー装着状態へと変身した。 半年前にインセンス帝国が初めて使用した技術であるが、グリーフ王国もこれを独自で開発し、導入したのである。 戦闘関係以外でのラストアーマー装着は基本的には厳禁だが、ロアは御構いなし、といった具合でそれを装着した。まだまだ少年だ。 「これならいけるはず…!」 漆黒のラストアーマーを着たロアは猛スピードで王都へ向かった。 街並みを駆け抜ける中、それを見た市民が"戦闘が起こるのでは…?"という不安に駆られていることもつゆ知らず、ロアはどうにか王都ソレイユへ到着した。
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