序章 パーティー二軍のままエンディングを迎えるって実際どうよ

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序章 パーティー二軍のままエンディングを迎えるって実際どうよ

 ポン、ポン……。  ポンポンポンポン。  雲ひとつない青空に、祝福の花火が打ち上がる。  お城の前のストリートには群衆が集い、拍手と喝采が繰り返される。今日のディヨルド王国は実に賑やかだった。  世界が平和になったからだ。  人類征服をたくらんでいた魔王を、勇者アークが倒したので、国中が、いや世界中がいま、その勝利を祝って宴を開いているのだ。勇者様万歳、アーク様万歳、世界平和万々歳! と―― 「……はあ」  そんな祝宴のまっただ中。  王国の外れにあるの酒場でただひとり、外の歓声を聞きながら、俺はため息をついていた。 「アーク様万歳、か。あいつもずいぶん、偉くなっちゃったなあ」  はがねの剣を、さすりながらうめく。  あいつと稽古していたころが嘘みたいだ。  あのころは、俺とあいつ、ほとんど互角だったのにな。  ――そう。  俺、すなわち魔法剣士のエルドは勇者アークと親友だった。  同じ村で育ち、共に剣と魔法の稽古を積んだ幼なじみ。  朝から晩まで木剣を振り回し、魔法使いの村長に頼んで、魔法の稽古も積んだのだ。  なにせ俺らは当時、ガキだった。純粋に、強くなることがカッコいいことだと思っていた。  だが、ある日。     
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