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ドラゴンはゲタゲタと笑い声をあげた。
「あいにくと逃がすわけにはいかん。こっちもこれで退屈していたのだ。なにせさらってきたルティナ姫を見張る役目を帯びてから1ヶ月。戦いもなくまったく退屈しておった!」
「ルティナ姫? あんた、お姫様なのか? それがなんでこんなところに……」
「そ、そうです。わたしは姫……。しかし、ああ、そんなことより逃げてください!」
「なにせこの洞窟と来たら、人間ではとうていたどり着けぬ岩山の奥に作られておる。ゆえに旅人もやってこぬ。さしものオレ様も腹が減っておったのだ」
「いや、待て。そもそもルティナ姫なんて聞いたことがない姫だぞ。あんたどこの姫様なんだ?」
「どこって……わたしはディ……いえ、そんなことはどうでもいいのです。早くお逃げくださいまし!」
「ゆえに人間。オレ様はこれから貴様を食う。……ふふん、見れば貴様、あまり美味そうではないが、まあ今日のところは我慢してやろう。
貴様のようなヒョロヒョロとした弱そうな人間でも、食わぬよりは腹の足しになろう。
ああ、抵抗はせぬほうがよいぞ。変に暴れるとかえって痛い。ガッハッハッハ……!!
どうせ食われるのだから、おとなしくオレ様の餌食にな――」
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