第1章 お約束のようにドラゴンと姫様

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 ドラゴンはゲタゲタと笑い声をあげた。 「あいにくと逃がすわけにはいかん。こっちもこれで退屈していたのだ。なにせさらってきたルティナ姫を見張る役目を帯びてから1ヶ月。戦いもなくまったく退屈しておった!」 「ルティナ姫? あんた、お姫様なのか? それがなんでこんなところに……」 「そ、そうです。わたしは姫……。しかし、ああ、そんなことより逃げてください!」 「なにせこの洞窟と来たら、人間ではとうていたどり着けぬ岩山の奥に作られておる。ゆえに旅人もやってこぬ。さしものオレ様も腹が減っておったのだ」 「いや、待て。そもそもルティナ姫なんて聞いたことがない姫だぞ。あんたどこの姫様なんだ?」 「どこって……わたしはディ……いえ、そんなことはどうでもいいのです。早くお逃げくださいまし!」 「ゆえに人間。オレ様はこれから貴様を食う。……ふふん、見れば貴様、あまり美味そうではないが、まあ今日のところは我慢してやろう。  貴様のようなヒョロヒョロとした弱そうな人間でも、食わぬよりは腹の足しになろう。  ああ、抵抗はせぬほうがよいぞ。変に暴れるとかえって痛い。ガッハッハッハ……!!  どうせ食われるのだから、おとなしくオレ様の餌食にな――」     
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