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「さっきからうるせえよ、お前」
俺は左手で軽く、虫でも払うみたいに動かして。
ザコモンスターのドラゴンを、吹っ飛ばした。
「あぐぅふ!!!!????」
ドラゴンはそのまま激しく五体を回転させて、バァン!!!!
洞窟の壁に全身を打ちつけて、ぶっ倒れてしまった。
「ったく、さっきからぎゃーぎゃーうるせえよ。たかがドラゴンのくせに」
おかげで、話もできないじゃねえか。
しかし、これでやっと静かになったな。
俺はツカツカと進むと、ルティナ姫の前に到着して、鉄格子ごしに話しかけた。
「これでやっと話ができるな。えーと、どこまで話したっけ」
俺は穏やかに笑いつつ言った。
つもりだが、ルティナ姫は碧眼を大きく見開かせている。
えらく驚いた面持ちだが、なんだ? なにをそんなに驚いているんだ?
「あ、あなた。い、いまのは魔王軍最上級モンスターのドラゴンですよ? そ、それを、素手で、しかもたったの一発で……?」
「最上級? 最下級の間違いだろ」
俺の知っているドラゴンは、たいへんザコい。
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