第1章 お約束のようにドラゴンと姫様

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「さっきからうるせえよ、お前」  俺は左手で軽く、虫でも払うみたいに動かして。  ザコモンスターのドラゴンを、吹っ飛ばした。 「あぐぅふ!!!!????」  ドラゴンはそのまま激しく五体を回転させて、バァン!!!!  洞窟の壁に全身を打ちつけて、ぶっ倒れてしまった。 「ったく、さっきからぎゃーぎゃーうるせえよ。たかがドラゴンのくせに」  おかげで、話もできないじゃねえか。  しかし、これでやっと静かになったな。  俺はツカツカと進むと、ルティナ姫の前に到着して、鉄格子ごしに話しかけた。 「これでやっと話ができるな。えーと、どこまで話したっけ」  俺は穏やかに笑いつつ言った。  つもりだが、ルティナ姫は碧眼を大きく見開かせている。  えらく驚いた面持ちだが、なんだ? なにをそんなに驚いているんだ? 「あ、あなた。い、いまのは魔王軍最上級モンスターのドラゴンですよ? そ、それを、素手で、しかもたったの一発で……?」 「最上級? 最下級の間違いだろ」  俺の知っているドラゴンは、たいへんザコい。     
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